嶋岡 晨 shimaoka shin


 

●著者略歴

1932年(昭和7年)高知県生まれ。高知工業高校建築科卒業。明治大学仏文科卒業。詩誌「貘」を創刊、「地球」「歴程」にも参加。明治大学講師その他を経て、立正大学文学部教授(平成2〜14)。詩集『薔薇色の逆説』、『偶像』、『人間誕生』、『永久運動』(岡本弥太賞受賞)、『釘の唄』、『変身』、『八月のパリの黒い汗』、『ネオロジスム詩集』、『乾杯』(小熊秀雄賞受賞)、『影踏み』、『愉しい人生の草野球』、『愛する日日のレクイエム』など。詩論『詩とは何か』など。 「洪水」にて「詩生活ノート」を連載中。

●『魂柱・反世界遺構』あとがきより

「われわれの世界の物質構成の基本的粒子と逆の粒子(反陽子、反中性子、反中間子、陽電子)から成ると考えられる世界。反粒子の存在は確かめられており、粒子と反粒子が出会うと瞬間的に全質量がエネルギーになる。反対世界。反宇宙。」〔新潮国語辞典〕
*粒子──物質を構成する最も微細な粒。素粒子は、物質または場を構成する窮極的な単位物質である。
われわれの詩はもはや言葉の表面的な意味やイメージをなぞるだけでなく、事物と人間の核心に仕掛けられる爆発物でなければ、表現意味がない。
子供たちが想像世界を現実の事物に仮託Anlehnungして遊ぶように、詩人は不在Abwesenのものを現在化して、新しい世界を創出Dichtungするのだ。その代表的な認識が詩的〈反世界〉だ。──拙詩集タイトルの由縁。
だがそれもさらに別の反世界にくつがえされるとき、たちまち〈遺構〉化せざるをえない。創り了えられた作品は、すべて遺構である。