新城貞夫 shinjo sadao


 

●著者略歴

1938年 サイパンに生まれる。
1962年 第8回角川短歌賞次席
1970年 村上一郎・桶谷秀昭共同編集「無名鬼」に作品発表
1973年 現代短歌大系11巻、現代新鋭集(三一書房)に百首採録

●『ささ、一献 火酒を』あとがきより

詩は聖の領域に属する。若い時からの信仰であり、買いかぶりである。いかなる領域も塀であり、壁であり、柵であり、収容所である。囲い込み、閉じ込め、拘束する。自由へ飛翔する精神にとって耐えようがない、牢獄である。詩は自らの領域、聖の閉じられた空間を破砕するだろうか。
倭歌・和歌・短歌。三十一文字の鉄の鎖で結ばれ、張りめぐらされている詩の形式。日本人の喉の構造、その震動がこの韻律を選んだだけである。だが、古代日本人と一部戦後派知識人と沖縄の人とは喉の構造や震動の仕方が違う。沖縄には琉歌という別の定型詩がある。沖縄の定型詩人は短歌を書くにしろ、琉歌を詠むにしろ、いくらか無理をする。流れる口の滑りがない。
エッセイの形は決まっていない。宛先不明の、しかし誰かへの郵便ではある。内容も定形封筒からはみ出る。あっち行き、こっち行き、わがまま自在である。文学の一分野ではある、ならば虚構である。